Billy Herrington, R.I.P.

Billy Herrington, R.I.P.

2018年の3月4日、日本時間で午前1:30頃に突然の訃報に接しました。
アメリカの元ポルノ俳優で、日本でもニコニコ動画で「兄貴」の愛称で慕われていた
Billy Herrington(ビリー・ヘリントン)さんが
3月2日に交通事故によって亡くなってしまった、という報せです。
この件に関して、自分の想いを記事として残す事にしました。

「兄貴」とは

まずビリー・ヘリントン(以下、兄貴)についてご存知ない方のために説明すると、
記事冒頭にも書いた通り、彼はアメリカでポルノ男優として活動していた方でした。
ポルノと言っても兄貴はゲイビデオにも出演経験のある方で
日本で有名になったのは兄貴の出演作品(ゲイビデオ)のひとつ、
通称「ガチムチパンツレスリング」
ニコニコ動画で釣り動画として使われた事がきっかけです。

同作品の内容について細かく書くと色々怒られそうなので割愛しますが、
内容の展開や空耳ネタ(例:You got me mad now! ⇒ 歪みねぇな 等)、
動画自体に加えられた編集やユーザーによるコメントが
日本のネットユーザーにギャグ的に捉えられ、一部層の人気を集めていました。
そこから兄貴が出演した他のゲイビデオや関連作品まで発掘されていき、
いつしか「レスリングシリーズ」として1つのジャンルにまで発展して、
今なおMAD動画が作られるなどの展開が続いています。

もちろん、映像に出演していた兄貴たちは「ウケ狙い」で
セクシャルな部分を演じていた訳ではありません。
勝手にニコニコ動画の一部ユーザーたちがネタ扱いし、
1人のキャラクターとして、悪く言えば笑い者にしてきただけでした。

 

大抵の人は自身がネット上でそのような扱いをされていれば憤るものでしょうが、
兄貴はこうした日本のネットユーザーによるMAD動画などを見て
「クリエイティブな人たちだ」と称賛し、
ニコニコ動画の公式イベントや放送にまで出演してくれたのです。
それも、ビリー・ヘリントンという人物としてだけでなく
ニコニコユーザーに合わせて「兄貴」としてのキャラも演じるという
ファンサービスまで見せてくれました。
それと同時に、レスリングシリーズなど同性愛をネタにされることで傷付いた人たちに
メッセージも送るなど、思いやりに溢れた人物でもあります。

また、兄貴は日本のニュースサイト「ガジェット通信」のインタビューで
日本の若者(ニコニコ動画のファン)に向けて以下のようなメッセージも残しています。

ニコニコのファンに伝えたいのは、他人や自分を型にはめて決め付けないこと。そして冒険を恐れないこと。チャンスが訪れたら、信念を持って、そしてその信念に対して努力すること。ウジウジしてないで人生を謳歌(おうか)すること。ゲイだろうが、ストレートだろうが、男とか女とか関係ない。楽しもうぜ、それが人生ってもんだろう。歪みねぇ人生を生きようぜ!

出典:ガジェット通信
歪みねぇ単独インタビュー!ビリー・へリントン兄貴を丸裸にしてきたゾ!

こうした人柄やネット文化への寛容さから、兄貴はますます人気者となり
母国から遠く離れたこの国で慕われ続けていました。
ただのいかつい男という意味の「兄貴」でなく、
人生の手本としたい、ついていきたくなる人格者としての「兄貴」として
多くのファンを惹きつけていったのです。

しかし、その兄貴が2018年の3月2日、自動車を運転中に交通事故で亡くなりました。
48歳という、死んでしまうにはあまりにも早すぎる若さでした。
私以外にもこの報せにショックを受けたネットユーザーは多く、
複数のニュースサイトでも兄貴の訃報を取り上げています。

自分のゲーム動画と兄貴

自分もかつてはニコニコ動画でゲームの字幕プレイ動画を投稿していた頃、
それこそ兄貴が来日してファンと交流し始める前から
たびたび動画のネタとして兄貴の声などを入れたりしていました。
そういった動画のスタイルを面白いと評価してくれる人もおり、
今でも私が過去に投稿した動画や生配信を見に来てもらえるのは
兄貴のおかげでもあると思っています。

逆に言えば、昔の自分は兄貴をはじめとする色々な要素を
素材としか意識していなかったように感じます。
そういう、兄貴の声や姿を本来の意図と違う使い方をした我々ユーザーに対しても
兄貴は寛容な心で受け入れてくれたどころか、
クリエイティブであると褒めてくれました
(さすがに極端な誹謗中傷や差別目的に使われるのは駄目でしょうけれども)
最初はただの空耳が面白いガチムチ兄貴としてしか彼を見ていなかった私でしたが、
インタビュー等を通じて兄貴の生き方や考え方を知ってからは反省し、
私にも良い影響を与えてくれて、今の自分にまで繋がっています。

 

そもそも、私が普段行っているゲーム実況や動画投稿に関しても
著作権的にはグレーゾーンとなっています。
にも拘らず、現在ではネット上の人気ジャンルとして確立しているのは
各ゲームの製作会社やスタッフの方々が大目に見てくれているから。
駄目な内容の動画は駄目だと削除される事もありますが、
ゲームの動画投稿を暗黙の了解として許容して下さるからこそ
自分達は表現の手段を得ているのです。

私もそうした寛容な環境に甘えてばかりでなく、
自分自身が誰かの助けになったり、誰かをもっと楽しませていけるような
魅力のある人間になりたいと思うようになりました。
これから先、ゲーム実況だけでなく
ブログ記事の作成やサイト制作など、色々な面で努力していくつもりです。
兄貴、本当にありがとう。

 

妖精哲学の三信

最後に、兄貴の空耳ネタからニコニコ動画で生まれた
「妖精哲学の三信」を紹介して締めくくろうと思います。

だらしねぇという 戒めの心
歪みねぇという 賛美の心
仕方ないという 許容の心

 

誰もが歪みねぇ人生を送れますように。 R.I.P.